ブラジルツアー⑧

9/1 前半

3:30にアラームをかけつつ、4:00に起きる。少し出遅れたがいつものこと。

この日が最終日、泣いても笑ってもこのラストチャンスにかけるしかない。膝の痛みはまだ鈍く残っていて、2,3トライしか出来ないだろうことも目に見えている。つまり起きた時間はこの時間で間違っていない。

問題はバスの時間。一番早いバスは4:50発だが、Fortalezaのバス停まで1時間、そこから岩場まで歩いて30分。仮に道が空いており、かつバス停から岩場まで走ったとしても岩場に着く頃には6:00になっていると考えられる。太陽光が岩を直撃するのは6:10頃。アップの時間も含めると僅かに時間が足らない。

そこでUberを使って岩場まで行くことを考える。これは前日から考えていたプラン。Uberアプリを開くと、近くにドライバーの表示が出る。これなら5:30には岩場につける。賭けに勝った!

意気揚々と部屋を出ようとすると、ドアの向こうから騒がしい足音が。。ものすごい勢いでホステルの飼い犬(ステラ)がはしゃぎ回っている。飛びかかり方が半端じゃない。マジか。しかし躊躇っていては太陽に先んじられるだけ、冷蔵庫に入れておいた食糧の入った袋を取りに行くと、ステラがものすごい勢いで袋に飛びかかって来た。

その後も宥めようとするが軽く甘噛みしてくるレベルで飛びかかってくる。舐めてもくる。ここで焦りが生まれる。食パンを投げつけてステラの気をそらしているうちに近くの椅子に座り、考える。

、、、狂犬病の心配はないよな?

流石に飼い犬だし。それに噛まれたといっても血は出ていない。が、蚊に食われたところが多過ぎて、そこを舐められたら結果は一緒。

まだ深夜と言ってもいい午前4:00。辺りの暗さに不安は膨らみ始める。

つい先日の夜「死の機会は誰にでも平等にある」ということを小説から諭されたばかりだが、この大事な教訓も今となっては不安を膨らますための餌となっている。

もし狂犬病なら24時間以内にワクチンを打たなければ死ぬ。致死率100%。ハイボールとは全く違う怖さがある。

何か確かめる方法はないか。そうだ、この犬が狂犬病なら水を怖がるはず。試しに水をこぼしてみる。一度は驚いて逃げるも、すぐに近付いて濡れた床を舐め始める。

大丈夫な気もする。しかしこれだけで不安は拭えないので、ネットで狂犬病の犬側の症状を調べてみる。

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水を怯えないタイプもあるんかい。。。

完全に金田一由来の知識に頼っていた

そもそま、ブラジルで狂犬病ってどのくるい流行ってるのか、という疑問と湧いてきたので「ブラジル 狂犬病」で検索する。

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(Forthより)

ペットを含むあらゆる動物に触らないことって、、、

 

この文面を見て、自分のモチベーションはチキンハートに食われ切った

さらに駄目押しと言わんばかりに、2枚目のパンを食べ終えたステラがさっきまで自分が寝ていた部屋の引き戸を鼻先でこじ開け、部屋に入って行く。同室のブラジル人も起き上がる。必死に部屋から追い出す。追い出す時には自分も部屋側に回る。

ようやく追い出したころ、時刻は4:30。食糧は部屋の外にある。いや、食糧が手元にあろうが部屋の外ではしゃぐステラを突破しないとホステルからは出れない。

今から太陽と競争しても、勝てる見込みもない。

結果、もう一度寝ることにした。一応気休め程度にシャワーは浴びた。噛まれたりしたらすぐ石鹸で洗うことって書いてあったから。

シャワーのお湯は昨日ほど熱くならず、それなりに凍えながら浴びた。

こうして、最終日朝一のチャンスは呆気なく潰れた。

寝不足に加えてステラとの一悶着で疲れたことが効いたのか、特に苛立ちもないまま2回目の眠りに入った。

8:00に起床

豪華な朝食を食べる。

オーナー夫妻からステラが迷惑をかけたと謝られる。もはやネタだったので気にしないでと返したが、俺のパンが食われていたことを知り、新しいのを買ってくると言う。何だか申し訳ない。

日が昇ると昨夜の不安も影を潜め、少し安堵した。そして核心の「狂犬病大丈夫だよね?」という質問をしたくなるが、冷静に人の家のペットに対してものすごい失礼なことを聞くことになるな、と思う。

しかしこっちもある意味で命がけである。

予防接種打ってますよね?と聞くも、予防接種という単語が通じないのか、俺の声が細くなっていたからか、上手く要領を得ない。「ステラはよく飛びついちゃうんです。遊んで欲しがりなんだけど、ステラはいつも力が強い」との返答が返ってくる。完全に安心出来る回答というわけでもなかったが、いつもこんなテンションの飼い犬が狂犬病なわけもないと信じて、打ち切る。

そして、岩場にはどうせ早く行っても暑いだけなので昼発のバスで行くことを考えていると、オーナーのリカルドさんが市場に連れて行ってくれるとのこと。

毎週土曜日に色んな野菜や果物が出店するらしい。この「土曜日に」という説明で気付くべきやったことがある、、、というかそんなヒントがなくても気付くべきやった。

市場を見て回り、ブラジルの果物を色々と試食させてもらう。さらにPasteliaという薄いパイ生地で色んなものを包んで揚げたファトフードとサトウキビを絞ったジュースをご馳走になる。

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ホステルに戻ったあとは、市場で買ったカカオを割って食べる
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甘酸っぱくて、ヌルヌルした不思議な味。結構病みつきになる。コーヒーの原料がまさかこんな味だったとは。
それにしても、集合体恐怖症の人には食べづらい見た目やな、、、

朝のトライはなくなったけど、それ以上の経験をさせてもらえた気がする。本当にいい人やった。

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