厳密には仕事を辞めてから読んだ本だけど
①「嫌われる勇気」
岸見一郎、古賀史健
電車内の壁広告でもよく見かける話題沸騰していた本。もうブームは過ぎ去ったか。
普通はこれを読んで「今の仕事を辞めてもっと自由に生きよう」と考えるんだろうけど、敢えて既に辞めているところから読んでみた。
というか働いているときに読む心の余裕はなかった。
本書のスタイルは「アドラー心理学」に習って生きている教授と、コンプレックスの塊のような若者が対話しながら、次第に若者がアドラー心理学を受け入れていくもの。
登場人物が実体験(?)に基づきながら、過去のトラウマに着いて語ったり、アドラー心理学の納得できない点について指摘を重ね、その度に教授が説く。2人のやりとりに人間味があって、次第に前を向くようになる若者の姿が描かれている。小説気分で読める本でもある。
いわゆる自己啓発本の類を読むのは初めてだけど、確かにハッとさせられることも多かった。
この考え方の通りに生きれたら精神的に無敵だな、とは思うけど、現実には中々難しい。本書でも述べられている通り、とりわけ日本人には「勇気のいる心理学」が綴られている。
「〇〇だから◻︎◻︎なんだ」という”原因論”ではなく、「◻︎◻︎のために〇〇という状況を作り出している」という”目的論”で「全て」を考える、というのは確かに斬新。全てというのがポイント。
「出来ない」方が実は都合がよく、その障壁を自ら作り出している、というのは何となくセルフハンディキャップの心理にも似ているかも。
全ての人は直線上にいるのではなく、平面的な空間に立っており、「今の自分より前へ」進むことが大事である。というのはまさにクライミングに通じるような。
そして
「人生はとてもシンプルである」
「トラウマは実在しない」
など、そんな馬鹿な、と思うフレーズが出る度に、若者は反駁していく。そしてその言葉を支える根拠を教授が説く。
何にせよ、仕事を辞めた自分の背中を後押ししてくれる一冊だった。
個人的には
誰もやっていないのなら、他でもないあなたがやるべきだ、という言葉が良かった。
仕事辞める時も「仕事辞めた人なんて他にもいる」と、前例を気にして決断していたことは否めない。
気が向いたら読み返そうかと。
②どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法
Eiko
これもブームは過ぎ去ったかに思える話題沸騰していた本。
体の硬さに関してはクライミング界に留まらず、ここ10年間で自分より固い人を見たことがない自負がある。野球部だった頃の名残で股関節は割と柔軟だが、とりわけ上半身が壊滅的な硬さである。石になる病気にかかってるんじゃないかって疑うほどに固い。聖なる遺体を持ち出す必要がある。
世界一周中にクライミング能力は格段に落ち込むことが見込まれる。しかしこの機を”退化”ではなく”変化”に繋げたいと考えた末、この本を手に取ることにした。
本著は開脚に焦点を当てていて、どちらかというと下半身よりなのだが、まずは柔軟といえばの開脚をマスターし、軟体な体を手に入れる足掛かりにしようと思う。4週間というスパンも魅力的。次第に肩周りもほぐして行こうと思う。最終的には立肩甲出来るようになりたい。
そして帰国したらハッチ四段を登る。
因みに現時点で4週間どころか10週間経っていて、開脚は出来た。4週間では出来なかったが、椅子を使ったりドアを使ったりする体操をやる場所がないのが辛かった。壁を使うストレッチですら、バックパッカーには厳しい。
さらに、もう直ぐ前屈で膝に顔を着けれそう。このまま帰国までに全盛期の柔らかさを取り戻す!
本の内容は小説とかも含まれているが、肝心のところは簡単に読めるので、購入しなくても充分だったかも。
なんにせよ軟体クライマーへの身体改革は緒についたばかりである。
③夜の国のクーパー
伊坂幸太郎
伊坂幸太郎の作品が好きなので、毎回ツアー毎に一作は読んでいる。
今回はタイトルからして魅力溢れている。
いきなり喋る猫が主人公(?)に、僕の国では戦争が終わったと告げる。敗戦した国は勝利した国に支配される運命にある。
戦争が終わり、広場に集められた住民、取り囲む敵兵。舞台上の王様が突如頭を撃ち抜かれる。敵兵の支配が始まり、村人は言い伝えにある「クーパーの兵士」に願いを託す。
伊坂お得意のどんでん返しまで、読んでいて楽しい作品だった。
④「また、必ず会おう」と誰もが言った
喜多川 泰
知り合いの勧めで購入した本。見栄っ張りな嘘をついた主人公(高校生)が、その嘘をつき通すために人生を変えるような体験をする羽目になる。
話は1人ディズニーランドのシーンから始まる。どうでもいいけど1人ディズニーランドとか久しぶりに聞いて、久しぶりにエンサイクロペディアを見た。
このエクストリームスポーツ、、、エルキャプのフリーソロくらい過激やわ
そんなエクストリームスポーツをやる羽目になった主人公(高校生)は、地元の熊本まで帰ろうとするも、渋滞に巻き込まれて帰りの飛行機を逃す。
そこから色んな人に助けてもらいながら実家まで帰るも、出会う人それぞれに人間ドラマがあり、少年はかけがえのない経験を重ねて行く。
面白かったし、感動的なシーンも多かったけど、セリフ多めで作者の言いたいことがガンガン書かれている感じ。
素直に「ひたすら感動した」って感じにならなかったのは、歳とった証拠か。。
高校生の時とかに読んでたらメッチャ感動してそう。
⑤新釈 走れメロス 他四篇
森見登美彦
「夜は短し歩けよ乙女」などで有名な森見登美彦の短編集。過去の名作を森見登美彦風にアレンジした話だけど、各短篇とも繋がっていて全体で1つの話になっているような印象も受ける。
舞台が京都なので、懐かしい情景が色々と浮かんできて楽しかった。「桜の木の下で」は中々に切ない最後。
森見登美彦さんの文才凄いわ。
⑥星の王子さま
サン•テグジュペリ
マダガスカルといえばバオバブ、バオバブといえば星の王子さま、ということで読んでみた。Kindle電子版が270円だったっていうのもある。
童話だったこともあり、1-2時間くらいで読み終えた。
キツネが人生について大切なことを王子様に語るシーン、そのキツネとの別れのシーンはジンときた。
バオバブがどう絡むのかと思えば、まさかの展開やった。ちなみにバオバブは一年に10cmくらいの成長速度らしい。
そして王子様と語り手の出会いはサハラ砂漠。丁度エジプトで広大な砂漠も見てきたので、物語の世界観がより鮮明になった。あの広大な砂漠で遭難したら絶望するわ。
大人になると途端に分からなくなる「大切なこと」を教えてくれる素敵な物語。
⑦星を継ぐもの
ジェイムズ•P•ホーガン
1970年代に描かれたSF超大作。
真紅の宇宙服に身を纏った遺体が月で発見された。調べてみると何と死体は5万年前に死んでいたことが判明する。地球上が歴史的大発見に騒然とする中、さらに木星の惑星ガニメデでは2500万年前に作られた超大型宇宙船が氷の中から発掘される。2つの歴史的発見に隠された繋がりとは。人類の起源にまで迫るSF小説。
ハイテクな用語が多く、書いてあることがわけ分からなかったり、洋書特有の言い回しに最初は読み辛かったものの、読み終えてみるとかなり面白かった。
今のところ読んだ本の中で1番オススメ。
40年前に描かれたとは思えないストーリー展開。科学の空白に思いがけない橋渡しをする仮説に思わず「本当にそうなのでは?」と考えてしまう。
地球上で何故人間という生物だけが、高度な文明を築き上げ、特異な営みをしているのか。その疑問までも解決に導く衝撃のラスト。
世界一周中に続編も読んでおきたいところ。
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