Bishop7

6日目

この日は冒険的な一日だった

出だしから全員がバラバラのエリアへ向かう

A Scanner Darklyを打ち込むHさん

15年前の宿題The Hulkを片付けに行くM村さん

二人と別れ、自分は1人Solitaire Boulderへと歩を進める

何となくある踏み跡を辿ると、誰もいない、耳鳴りが聞こえる程に静かな空間に綺麗なボルダーを発見する

岩はSoul Slingerと同じくらい、Bishopの中ではもはや小ぶりと言えるサイズ

木漏れ日の中に、綺麗な棚上のホールドがキャンパスボードのようにリップまで並んでいる

というか最早キャンパスである

一つ目の棚取りは京大ウォールのキャンパス3本飛ばしくらい

そして核心のリップ取りは京大ウォールのキャンパス4本飛ばしくらい

つまり過去何百回と起こしたムーヴ

軽く飛んではマットの位置を調整し、指先の痛みが無くなるのを待つ

体も温まってきた頃にカメラ回して、思い切りランジを止めて完登

綺麗なラインやった

そしてここからメンタルを研ぎ澄ませて

この岩を見つけると同時に惹かれたラインに取り付く

トポに写真もなければ星も着いていない課題

Solitaire Boulderの裏面にあって、日の当たらない推定140度の壁

ただ羽の着いたハートマークが一個あるだけのライン

Judge Not V9

下地はやや斜面を下っているが、基本砂地で平ら

ただどっ被りの大ランジはどこに落ちるか予想しにくい

軽く飛び出しては着地し、位置を読む

そこから一度、気合を込めて右手でガバフレークを捉えるも

左手のサイドカチは外れ大きく回転する

どうにか読みも当たってマット上に転がるように着地する、そして同時にランジは出来ると確信を得る

そして次のトライ、ランジが止まる、左手は切れた

体勢を立て直して、見るからにポジティブなホールドが続く上部へ

が、フレークのガバを握った瞬間に脳が警告を発する

このホールドで手に足は、死ぬかもしれない

手を飛ばすことも、足を上げることも出来ず壁の上で途方にくれていると、右上にあるカチの存在に気付く

しかし気付いたときには腕も張り、あえなくフォール

日向で大きくレストを挟み、もう一度メンタルを整える

ただひたすらに松岡修造botの言葉が沈黙の中にこだまする

“諦めるなよ!諦めるなお前!どうしてやめるんだ!そこで!
もう少し頑張ってみろよ!駄目駄目駄目駄目諦めたら!
周りのこと思えよ!応援してくれてる人達のこと思ってみろって!
あともうちょっとの所なんだから!ずっとやってみろ!必ず目標達成できる!だからこそ!Never GiveUp”

文字だけでうるさい

どうにか腕の張りも取れたころ、大きく深呼吸をして次のトライへ

ランジを無事こなして、先ほど見つけたカチを取りに行く

握り込んだ瞬間、いつ欠けてもおかしくないことを悟る

それでも左足のヒールを上げ、必死に右足の甲を何かに当て

少しでもカチへの負荷を減らしながら、慎重に左手を放す

恐怖の中リップに手を伸ばすと、掛かりの良いガバカチを捉える

そこからオブザベの通り、ガバを繋いで無事トップアウト

スラブに立ち上がった瞬間、岩の頂点まで駆け上がった

Judge Not V9 完登

最高の気分やった

こんなクライミングは久しぶりな気がする

グレードも決して高いわけではないし、ルミナンスやアンブロシアに比べたら命はまだ保証されている課題やったけど

星にもグレードにも捉われず、辺りに誰もいない中、恐怖に打ち勝って登れたラインは格別な達成感がある気がする

というか、何故このラインが星0個なんだ!

その後お昼を挟んでDale’s Camp Areaまで歩く

彼方にグランパを眺めながら、雄大かつ奇怪な岩塔の横を歩くアプローチはただ歩くだけでも楽しかった

メチャクチャカッコいいZen Flute V10も今回はスルーして、今ツアー中にどうしても来たかったXavier’s Roof V11へ

ここでは大勢の外人グループに遭遇、さっきと打って変わって大量のマットがあった

下から1トライ、いきなり核心のマントルまで来れるも、苦手そうな核心は意味が分からずフォール

そこからひたすら上部を練習して、遂に左手の持ち方を解明

とにかく親指が重要やった

さらにリップすぐ手前の中継を教えてもらって、ムーヴ解決

その次のトライで登れた

メチャクチャ名作課題やったな〜

難点はゴールと下降路が同じという、アンマガンマパターン

人がいてくれて助かったぜ

何も知らずトライしてたらヤバかったわ

この日の目標が一通り片付いたので、メインエリアまで帰還

エビリューションの前に15枚くらい分厚いクラッシュパッドが置かれていたので、誰かやるのかと思ったけど中々トライ始まらず

混ざりたかったけど、諦めてマンダラシットへ移動

で、ボコボコにされているところに宿題を片付けたM村さんと、ボコボコにされたHさんが戻ってきて、皆でSuspended in Silence V5へ

四つ星課題だけあって綺麗かつ面白い課題やった

横のv3も登って、帰り際少しSpectreやって終了〜

この日はJack’sというレストランで1番高いステーキ食った

最高の元旦やったなー

元旦感全く無かったけど

そしてカトーさんがルミナンスを登ったという衝撃の報告を受けた

ヤバ過ぎっす

因みにJudge Notのトライ中に松岡修造の言葉が過ぎったのは当然のことながら嘘っすね

修造さんはメンタル使うクライミングの緊張感とは合わへんな〜

IMG_0226

Judge Not V9

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