Ceuse

一昨日までフランスのセユーズでリードクライミングをしていた

滞在日数11日間

クライミング日数7日間


それが終わった



ゴミクズ



ひとことで言えばそれに尽きる結果だった


クズもクズだ


生易しいものではない


カイジで言えば、利根川が教壇を叩きつけながら拡声器で罵るレベルだ


5.14が登りたかった

あの14は登れたはずだ


しかし、実際に登れなかった


10年近くクライミングをやってきて、幾度となく海外ツアーもしてきて、かつてこれほど凹んだことはない


コロラドツアーでTopNotchに敗退した時も凹みに凹んだが


あのツアーからNuthin’ but Sunshineの成果を差し引いたくらい酷い結果だ


あの頃の記事を読み返してみて、過去の自分の悔しさが蘇って来るが、今回はそれを遥かに上回る


受験で第一志望の学校に落ちた


就活で第一志望の企業に落ちた


そんなレベルだ


こんなことを書くと、受験生や就活生からすれば不謹慎と思われるかもしれない

リードクライマーからは、14というグレードを舐めてるんじゃないかと思われるかもしれない

トール君のファンからは、ルシッドドリーミングの挫折に比べれば生温いと嘲笑されるかもしれない

しかし、これは俺のブログであり、そして今間違いなくこれまでにない挫折を味わっている

独りよがりのブログでくらい、たまには他人の何と比較することなく本音を綴りたい

受験だって就活だって、他人から見れば所詮他人事で、そこまで凹むことかと思うことばかりだ

けど、当人にはいつだってオオゴトである

自分にとってはそれが今なのである

とにかく凹んでいる

まともにブログ書く気も起きない

あの5日間はいったい何だったのか

全てが無駄になった

そう言っても過言ではない


何故なら、勝負に負けたから

受験に落ちたって、勉強した知識が消える訳ではない

それでも受験勉強に費やした日々の意味を問わずにはいられないだろう

そういうことだ


もうどうしようもない


頭で何と声をかけても心がついてこない


「第二希望の学校でもいいことは沢山ある」

「その会社で働くことが必ずしも幸せとは限らない」

「14登ったからって何が変わるでもない」

 

何を語りかけても、地の底に落ちたテンションはもうどうしようもない


そもそも、そんな方法でこの「認知的不協和」を解消したって仕方がないことは、mickipediaを読んでわかる通りだ


はち切れんばかりのフラストレーションは行き場を失ったままだ


クライミングでここまでの破壊衝動を覚えたこともない


目の前にジェンガが積まれていたら、間違いなく1番ドライバーでぶっ叩いている


この認知的不協和を解消するには、登るしかないが、ただ同じ課題を登ったって


「このツアーで14を登りたかった」

「このツアーでは登れなかった」


という認知的不協和は解消されない


「14を登るのに2回もツアーする羽目になった」となるだけだ


これは「一度しかないチャンス」をものにできなかったからだ


一昨年のジャパンカップもそうだった。コンペは水物と言われるが、1度しかないからこそ、挽回のチャンスがないからこそ悔しい


「今、弱い」「強くなりたい」そこに不協和があるのなら今後の努力が問われるが、今回は二度と来ないチャンスを逃したのである


恐らく、解消するためには、14c以上を落とすことが必要だ


そして、今回の課題をただの通過点に過ぎないものとする


つまり、問題を矮小化するしかない


第一志望の高校に落ちて絶望したのならば、さらに難易度の高い大学に受かるしかない


「14aごときで一喜一憂し過ぎたな」と。


理想はもう一度セユーズに来て、今回の課題をアップで落とす。


そしてさらにハードなラインをそのツアー内に落とす。


はっきりいってセユーズはアプローチがシンドイため、またツアーで来る気にはならない


もう一度来たところで、「あのとき落としていればこんなアプローチまた歩かなくて済んだのに」という思いが湧いてしまう恐れもある


だが、そのツアーで15クライマーになれれば、2度目のツアーは来てよかったとなるだろう


1度目の敗退がなければここまで来れなかったと思えるかもしれない


もはや、登るしかない


とはいえ、この世界一周をクライミングに囚われては本末転倒である

今にでもこのフラストレーションをトレーニングに還元したいところだが、それは帰国後にとっておかなくてはならない

しかし残念ながら3ヶ月もすればこの気持ちも薄れることは必至


そのためのブログである


コロラドの記事を6年経って改めて、こんな気持ちで読み返すとは思いもしなかった


このゴミクズがまともにリードクライマーを名乗る為にも、帰国後にもう一度振り返り、トレーニングするしかない

ガンジャEx、メタフォース、メランジ、全て落とすしかない

集中力をつける為に、リードのコンペに出てもいいかもしれない。


とにかく「ボルダーの方が楽しい」なんて新しい認知要素で誤魔化すことなどせず、リードにも真剣に取り組むしかない


さて、憤りも不甲斐なさもぬぐい切れた訳ではないし、テンションは地の底に落ちたままだが、ここから冷静さだけはなんとか取り戻したい


今回の敗退を振り返るにしても、ただトレーニングするだけではなく、リードに取り組む姿勢を変えねばならない


敗因は幾つもある。

全てをここに洗い出し、帰国後の糧にする必要がある。


①持久系リード課題の、上部の核心に対応出来ていなかった


はっきりいってこれに尽きる訳だが、今まで落とした13dはいわゆるボルダーライクな課題であり、中間部で長時間レストするような課題ではなかった


軽くシェイクを挟み、一気に突破する課題だった


しかし今回打ち込んだ課題は、下部の6ピン目までがボルダーライクな動きであり、そこから2ピン分のガバ地帯が続き、傾斜の変わり目で3級程の動きが出て来る。


この最後の動きに対応出来ていなかった


パンプした腕でどれだけカチが握り込めるか、全く分かっていなかった。


だからとりあえず突破する、というときは簡単に出来てしまい、繋げてきたときにどうなるかが全く分かっていなかった

「繋げてきたらヤバそうだな」「とりあえずは抜けれたからこれでいいか」「繋げてきてダメだったら考えよう」となっていた

結局、初めて上部に辿り着いたときに想定していた動きが全く出来ず、ムーヴを見直す羽目になる。


②ムーヴの作り込みの甘さ


これは下部パートにも共通するので、敢えて①と切り離した。


注意しなければならないのは、フラッキングか、キョンか、などと言った大きい意味でのムーヴだけではなく、「このスタンスをどのように踏み換えるか」「レストのガバはどの部分をどのようにホールディングするか」といったより細部まで徹底出来てなかった、という点である

ハードなボルダー課題なら指一本、結晶一粒まで注意するくせに、リードになるとかなりザックリしている

5,6便目のトライでふとレストに使っていたガバホールドのよい持ち方が見つかったり、はたまた1度見つけた持ち方を忘れたり、お粗末なムーヴ作りだった


特に今回の敗退は上部のホールディングの不正確さが招いた結果である。


これはもしかしたら石灰岩という岩質の特徴でもあるのかもしれないが、ギザギザしたスローパーカチをどのようにホールディングするのか、1便目で抜けたときから決めておけば2トライは節約出来た気がする


③割り切る


そもそも次に待つ人がいたり、誰かに長時間ビレイしてもらっていたり、そん中で延々と岩に張り付いているのが苦手なのもまた事実。


正直、リードで嫌なのは「待つこと」よりも「待たせること」である。

それはボルダーが好きな理由でもあるのだが、いかんせんリードだと気になってしまって、突破してしまったパートを再び練り直す気にならない。

大フォールしたあと、ポンプアップして上部を再確認する気にもならない。

しかし、改めて思ったのが、ここで手を抜いてしまってはいけない

結局その課題のトライ数が増えてしまう


もちろんいたずらに長く岩に張り付く気はない

・ホールディング

・他のムーヴの可能性

・スタンスの運び

・シェイク、チョークアップのタイミング

・クリップする際のホールド

1つ1つの動きに対する意識を上げなくてはならない


いつもは軽く当てるだけのトゥーフックが突然がっつりかかった。そのせいで体が引き戻され、次のホールドに届かずフォールした、なんてトライもある。


今までどれだけ適当なクライミングをしていたか身に染みた。


繰り返しになるが、特に上部の動きは精査する必要がある。

「突破したパートを改めて見直す」これは必ずやる必要がある。

また、ムーヴ練習には2便以上かけることも考える

1便目抜ける、2便目試しトライ&修正、3便目から本気トライ、となっていたが、3便目もワークに回してよい。限界グレードを責める際には、慌てて3便目、4便目で落とそうなどと思う必要はない。

特に本気トライで落ちたとして、無理してでもポンプアップして最後まで抜けるべき。下からばかりでなく、課題の全体像を早く掴むべき

④トライ周期

これは結局ツアー中にはよく分からなかった。ボルダーとレスト周期や、アップの仕方が違い過ぎる。

要勉強。

他にも反省点は山のようにある気がするが、忘れてはいけないのが「持久系の課題にもトライする」ということ

ボルダー要素の高い課題だけでなく、長めの課題にも取り付くこと

帰国後は修行だ

また、念のため書いておきたいのが、上記はあくまで自分がこのツアーで感じたことであり、備忘録であるということ。リード課題への取り組み方への一般論などではない。



最後に、繰り返しになるところもあるが、セユーズは素晴らしい岩場だった。各傾斜揃った大岩壁に、石灰岩特有のホールドが散らばり、多彩なムーヴを要求してくる。そして世界中からクライマーが集まる。皆気さくでいい人達ばかりだった。キャンプ場の設備も充実しており、快適な滞在だった。

標高2000mの岩場から眺めるフランスの片田舎の街並み、遠く霞むまで尾根を伸ばす山々。最高の景色の中でクライミングをした。


しかし、クライミングそれ自体は最悪だった。全てが台無しである。折角のご馳走の前に風邪を引いたようなものだ。確かに味は感じるが、幸福感が湧いてこない。


二度とこんなことにならないように、日本に帰ったら強くなるしかない。


セユーズツアー


Lapinerie 7b flash

Bibendum 7b+ masterOS

Bourinator 8a 2撃


Berlin 7c 敗退 (2便)

Les Colonnettes 7c+ 敗退 (2便)

Slow Food 8b+ 敗退 (14便くらい)

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