羊と鋼の森

rocklands

才能があるから生きていくんじゃない 。
そんなもの 、あったって 、なくたって 、生きていくんだ 。
あるのかないのかわからない 、そんなものにふりまわされるのはごめんだ 。
もっと確かなものを 、この手で探り当てていくしかない 。

– 羊と鋼の森 –

ケープタウンから更新

Kindleの弱点として、読み終わった本を取っておけないことと、人に貸したり出来ないことがある

最近、初めて沖縄に上陸した

このブログのタイトルをもってして、まさかの初上陸である

首里城にも行ってきた

自分の中で、今までで1番感動した小説は?と聞かれたら、迷いなく選ぶ一冊がある

それが「テンペスト」著者、池上永一

琉球を舞台にした小説で、文庫本4冊分の長編小説

過去にも感想を書いたけど、とにかく感動した作品で、展開の早さもあって夢中で読んだし、最後にずっと情けなかった主人公の兄が男気を見せるシーンが好きだった

歴史はからっきしだけど、テンペストの舞台でもある首里城なのでとても楽しみだった、、、

が、ここでふと衝撃が走る

思いの外ストーリーを忘れていたのである

wikiで調べて思い出してから見て回ったものの、あんなに感動したのにこんな薄れてるものなのかと

まーそういうもんかと

Kindleにすると本棚に書物が並ぶわけじゃないから、読み終わると形として残らず、、しまいには何読んだかすら忘れてしまいそう

てなわけで、少しでも記憶に残したり、振り返ったりするために、読んだ本の所感は出来るだけブログに書いておこうかと

推薦分だか備忘録だが曖昧だけど、元から曖昧なブログだからいいかと

そしてタイトルの本が記念すべきKindle一冊目

しかしこのタイトルから本の内容はまず分からないと思う

羊とは、ピアノを叩くハンマーの素材(羊毛)
鋼とは、ピアノの音を鳴らす弦

音の森に迷い込んだ主人公が、出口となる理想の音を求めて彷徨う話

ざっくり書くとピアノの調律師を目指す青年の話

高校生の時に調律されたピアノの音を聞いて、一気にこの世界に惹き囲まれた青年

ピアノをしていたわけでもなく、本人も自分に才能があるとも思っていない

微妙に常人からかけ離れた主人公特有の秀でた特性は出てくるけど。。

そんな青年が一途に調律の道を歩んでいくストーリー

読んでみた感想として、物凄く盛り上がるようなシーンはないものの、全体的に静謐とした雰囲気に自然描写がツラツラと描かれていて、読んでいくと心が澄んでいくようなそんな作品

でも何よりも良かったのは、主人公が一心に調律師を目指す中で、生活の中に潜む”美しいもの”に気付いていき、自分はこの世界にそれほどまでに惹きこまれているのだと自覚していくこと

そして、この記事の冒頭の結論に達する

物語のクライマックスとしてはやはり、1つの舞台で大事な調律を任されるのだけど、このときの未熟ながらに調律に打ち込む主人公と、最後に奏でられるピアノの描写が感動的

何よりも、調律に挑むときの心構えというか、調律を引き受ける瞬間の心理描写が素敵

全体的に心理描写と、主人公目線での人生観が語られるシーンが多いから人によっては退屈な作品かもしれないけど、

大学生からクライミングを始めた身としては、始めた時期が遅いのかどうか分からないけど、決して早くはないし、周りに才能人溢れる中で、

主人公の境遇とか純粋なキャラクターは、応援したくなる、共感できるところが多く

ずばり名作だった

因みにKindle機能の1つにハイライト機能というものがあって、他の読者が気に入ったポイントにハイライトを当てることができる

冒頭の一文もハイライト数はかなり多く、この話に込めたメッセージを象徴するような一文なのだけど

何となく、ここがハイライトですよ、と事前に教えられると、その一文に心打たれないと普通じゃないような、または逆に大衆に合わせられるのも癪だなと感じたり

ま、非表示にすれば解決するんだけど、ちょっと気になってしまったり

食べログの口コミ的な機能がある

そして自分の本作の個人的なハイライトは次の一文

ほんとうにつらいのは 、そこにあるのに 、望んでいるのに 、自分の手には入らないことだ 。

打ち込んでる課題が登れないときの心情を描いたような一文

それでもがむしゃらに調律に打ち込む主人公は、クライマーならきっと感じるところがあるはず

てなわけで、ロックランズ楽しんで来ます!!

コメント

  1. saka より:

    既読本が残せないって何か勘違いしてますね。最近岩場で半分は読書してるんで「羊の 」読んでみます。

  2. J より:

    ライブラリ機能があるんで残せないこともないんですけどね(^^;;
    何となく形に残らないことに寂しさを覚えてるんです。ブログも形に残ってるわけじゃないですが。
    「羊の」是非読んでみてください。

  3. […] […]

タイトルとURLをコピーしました