トッケビ 〜君がくれた愛しい日々〜

レビュー

見終えた

面白かった。

傑作だった。

初めてそのタイトルを聞いたときの期待値をモンスターボックスの池谷くらいの勢いで超えてきた。

このタイトルとサムネの時点で、本ブログ読者の反応は二つに分かれるだろう。韓流ドラマに興味ない人からしたら「Jどうした?」であり、既に韓流ファンの人からは「Jいまさら?」である。

事の発端は2003世代の最終兵器Aノンちゃんがトッケビにハマっているという話からだった。韓流を馬鹿にしていたつもりはないが、特に興味もなかったのでそのタイトルだけで笑い飛ばしていた。

そもそもトッケビというタイトルが期待値を損ねている。クライマーからしたら恵那のトケビ(三級)くらいしか頭に浮かばない。確かにラインは三ツ星だしグレードは韓国料理かと思うくらい辛いけど、超大作かと言われたら疑ってしまうタイトルだ。

しかしあまりにもいいと言うので、とりあえずあらすじを読んでみる。

想像以上に複雑だった。主人公が900歳というスケール感。まさかのマスターヨーダより年上。しかしヨーダは分かる。いかんせんスターウォーズの舞台は銀河だ。太陽は地球の33万倍の質量を持ち、100億年の寿命を持つ。天の川銀河はその太陽の1.5兆倍の質量を持ちながら2000億個の恒星を抱えている。124億光年先のモンスター銀河「COSMOS-AzTEC-1」ではその天の川銀河の1000倍以上の星が暴走的に生まれている。そんな世界感だ。むしろ年長者が800歳でいいのかとさえ思ってしまう。しかしトッケビの舞台は地球である。あまりに長い月日を生きている。

さらに死神。死神と同居と言われてもデスノートしか出てこない。あらすじから思い浮かぶ映像は何もない。しかし気にはなる。コテコテの恋愛ものかと思っていたが、何だか面白そうに思えてきた。

何より驚いたのはその評価だ。4.7/5点なんて見たことがない。絶賛の嵐。個人的に名作と疑ってやまない「最高の人生の見つけ方」でさえ4.5点だし、好きな映画と聞かれたら必ず答える「スタンド・バイ・ミー」だって4.3点だ。脱サラ後に見た映画No. 1の「きっとうまくいく」が4.7点。この名作と並ぶというのか。一般評価が全てとは思わないが、気になってしまう。これが評価経済というやつか。とりあえず一話見てみよう、そう思って一話見た。沼にハマった。

見始めると、韓流ドラマイメージ通りのエフェクトかかった俳優のアップと韓国語の歌が流れる。韓流ファンには申し訳ないが、このオープニングを見てる時点で何だかヤバイな、と感じた。

そしてオープニングの最後に「トッケビ」の文字がドアップで浮かび上がる。この時点でヤバさはピークに達する。まずフォントがヤバイ。オフィス2017でも見たことがない。一体どこの国のフォントなのか。これが高麗の字体なのか。もしこのタイトルだけを見かけたら深夜バラエティ番組か何かのタイトルと勘違いするだろう。いっそハングルで出して欲しかった。

しかも物語は戦場から始まる。時代は900年前、凄絶な戦が繰り広げられている。キングダムばりの乱戦模様だ。JKがハマっているドラマという事前情報のみを与えられた自分にはもう何が何だか分からない。

この序章がけっこう長い。30分くらいは時代劇を見ることになる。そもそも一話目で一時間半もある。しかし中盤、時間軸が現代に移り変わり主人公の母親が事故に遭うあたりから感情移入が始まる。インターステラ・鬼滅の刃しかり、冒頭で家族との別れはずるい。子役の涙が見事過ぎてのめり込む。

さらに10年が経ち、19歳のトッケビの花嫁チ・ウンタクが登場する。ここで失礼ながらまたしても驚く。え、この子がヒロイン?そう思ってしまう。美的感覚は人それぞれだが、ジブリで言えば千と千尋の神隠しに近い印象。しかし凄いのが、この子がどんどん可愛く見えてくる。時たま不機嫌な表情をするシーンがあると「あれ?やっぱり」と感じてしまうが、諸々の所作がやたら可愛い。ちなみにAノンちゃんのお気に入りは1話目の最後で、Oニシさんのお気に入りは10話目の居酒屋シーンとのこと。俺のお気に入りは13話目の社長と2人で「今の人生が何回目の人生だったらいいか」と話してるシーン。

全16話のうち、前半はトッケビとトッケビの花嫁が惹かれ合うシーンが描かれる。何せ920コ差の年の差恋愛である。加藤茶もビックリのジェネレーションギャップを乗り越えなくちゃいけない。

前半の同居生活に至るまで&同居生活後のイザコザがとにかく面白い。基本は

なんか良い雰囲気

仲違いを始める

仲良くなる

を繰り返す。割と急に仲直りしてたりする。

また登場人物には特殊能力がある

トッケビ→神の力を使える。念力、瞬間移動など

死神→帽子をかぶると姿を消せる。記憶を操れる。など

トッケビの花嫁→一応普通の人間だが、ある方法でトッケビを呼べる。幽霊が見える。

トッケビの花嫁はかなり不遇な人生を送っている。色々なトラブルに巻き込まれる花嫁をいかにして助けるか、というのもこのドラマの見どころになっている。

そしてコン・ユ演じるトッケビは基本クールである。長身イケメンで900年間孤独に生き続けた憂いを漂わせながら、夜のソウルを眺めている。数少ない俳優知識で言えば福山雅治か加賀シリーズの阿部寛バリにクールである。

しかし仲違いを始めたあたりからコメディ色が強まる。大体このあたりからトッケビに加賀刑事のようなクールな雰囲気はなくなり、阿部寛演じるトリックの上田に切り替わる。

「神の力には敬意を払わなくてはいけない」

そう言い切ったトッケビはどこに行ったのか。力乱用しまくりである。意地や見栄の張り方は結婚できない男の阿部寛並みだ。900年生きた故の落ち着きはどうした?100コ下のヨーダを見習って欲しい。

だがこのあたりの何気ないやり取りが面白い。伊坂作品好きの自分としては会話の掛け合いが面白い映画やドラマはついつい見てしまう。恋愛ものという印象はあまりなく、コミカルなシーンが沢山ある。もちろん聞き取れる言葉はアンニョハセヨとカムサハムニダとサランヘヨ、そしてトッケビだけである。単焦点レンズで覗き込んだかのようにトッケビという言葉が耳に響く。その度に「トッケビって何やねん」と心の中で突っ込んでいた自分はすぐにいなくなった。気付けばトッケビという語感に慣れ親しんでしまっている。

そして後半、だいたい9話目を超えたあたりからシリアスなシーンが増え、隠された真実が明かされていく。

神に呪いをかけられたトッケビは過去を忘れることが出来ないままずっと生きている。一方で死神とは前世で大罪を犯した人がなるものであり、前世の記憶は一切ない。死神とは一体何者なのか、トッケビの胸に刺さった剣を抜けるときは来るのか、盛り上がる一方である。コミカルなシーンは減っても、既に沼にハマっている俺はもう止まらない。

全16話終えるまで一度も飽きることなく見れた。会話のやり取りも、伏線の回収も見事としか言いようがない。久しぶりに超大作を見終えて、虚無感を感じてしまうくらい。今でも余韻が残っていて、ラストシーンを思い浮かべてしまう時がある。そのくらい名作だった。まさかJKがハマっているという前情報からここまでハマるドラマに出会うとは。JKから学ぶことは多い。

ちなみに4.7を超えるドラマは何かないのかと気になりいくつか調べたところ「結婚できない男」が4.9点という驚愕の数字を叩き出していた。さすが阿部寛。

 

 

最後に一点だけトッケビで凄い気になっていることがある。この件に関してはもしかしたら自分が見逃しただけなのかもしれない。ネタバレになってしまうので、以下空白を開けておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トッケビの不死は解決したのだろうか?

ラストに至っても、少なくとも年は取ってない。無事再会を果たしたが、トッケビは死なない体のままな気がする。あのままでは元ウンタクだけが歳を重ねることになるが、それはいいのか?

それだけ少しモヤモヤする。

参考

途中の銀河の話は友人から借りて面白かった本より

読むだけで人生観が変わる 「やべー」宇宙の話

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